在宅の緩和ケアで薬局が算定できる麻薬関連の加算は2つあります。麻薬管理指導加算(100点)と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算(250点)です。似た名前ですが、対象患者・届出の要否・併算定の可否がすべて違います。
本記事は告示・通知・施設基準通知の原文をもとに、2つの加算の違い、算定要件、届出の手順、回数特例との関係を整理します。麻薬の配送・保管・廃棄の実務は 医療用麻薬の在宅管理 をご覧ください。
- 麻薬管理指導加算 100点:麻薬の投薬が行われている患者。届出不要。服用・保管の状況、副作用の有無を確認し指導
- 在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算 250点:在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者。要届出(様式89)
- 2つの加算は併算定不可(250点を算定するとき100点は算定しない)
- どちらも在宅患者訪問薬剤管理指導料・緊急訪問薬剤管理指導料・緊急時等共同指導料に上乗せする加算。単独では算定できない
- 注射による麻薬の投与が必要な患者は訪問回数の特例(週2回かつ月8回)の対象
2つの加算の比較【早見表】

| 比較 | 麻薬管理指導加算 | 在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算 |
|---|---|---|
| 点数 | 100点/1回 | 250点/1回 |
| 対象患者 | 麻薬の投薬が行われている患者 | 在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者 |
| 届出 | 不要 | 必要(施設基準・様式89) |
| 確認・指導の内容 | 服用及び保管の状況、副作用の有無等 | 投与及び保管の状況、副作用の有無等(残液の取扱いを含む) |
| 上乗せ先 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料(注2)、緊急訪問薬剤管理指導料(注2)、緊急時等共同指導料(注2) | 同左(各注3) |
| 併算定 | 250点の加算を算定する場合は算定しない | 100点の加算とは排他 |
出典:調剤報酬点数表 区分15・15の2・15の3
麻薬管理指導加算(100点)の算定要件
告示の注2は「麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認し、必要な指導等を行った場合は、麻薬管理指導加算として、1回につき100点を所定点数に加算する」と定めています。
通知(区分15の2の(9))は緊急訪問の場合について、次の3点を求めています。計画的訪問でも同じ内容を押さえておけば足ります。
- 投与される麻薬の服用状況・残薬の状況・保管状況を確認し、残薬の適切な取扱方法を含めた保管取扱い上の注意等を指導する
- 麻薬による鎮痛等の効果と、服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無を確認する
- 在宅療養を担う保険医に必要な情報提供を行う
効果や副作用の確認は「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」(日本緩和医療学会)等を参照して実施することとされています。在宅患者訪問薬剤管理指導料(または緊急訪問薬剤管理指導料)が算定されていない場合は算定できません。
外来の服薬管理指導料にも同名の「麻薬管理指導加算」がありますが、点数は22点です。在宅の100点と混同しないよう、レセコンの設定を確認してください。
在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算(250点)の算定要件と届出

告示の注3は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認し、必要な指導等を行った場合は、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算として、1回につき250点を所定点数に加算する。この場合において、注2に規定する加算は算定できない」と定めています。
施設基準(保医発0305第8号 第102)
- 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること
- 医薬品医療機器等法第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること
届出は別添2の様式89を用います。様式89は在宅中心静脈栄養法加算と共通で、届出を行う加算に○を付け、麻薬小売業者免許証の番号と高度管理医療機器販売業の許可番号を記載します。
通知が求める業務
- 患家を訪問し、麻薬の投与状況・残液の状況・保管状況を確認し、残液の適切な取扱方法を含めた指導を行う
- 鎮痛等の効果と体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無を確認し、処方医に必要な情報提供を行う
- 患者が使用している高度管理医療機器(携帯型ディスポーザブル注入ポンプ等)について、保健衛生上の危害の発生の防止に必要な措置を講ずる
- 必要に応じて処方医以外の医療関係職種にも投与状況・残液の状況等を情報提供する
回数の特例と他の加算との関係
「注射による麻薬の投与が必要な患者」は、在宅患者訪問薬剤管理指導料の回数特例(週2回かつ月8回)の対象です。また在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料でも原則月8回まで、さらに区分1については夜間400点・休日600点・深夜1,000点の訪問加算が上乗せできます。持続注射の患者は、回数の特例・250点の加算・時間外加算の3つが重なる設計です。
| 場面 | 算定できる組み合わせの例 |
|---|---|
| 経口麻薬の患者に計画的訪問(1人) | 650点+麻薬管理指導加算100点 |
| 持続注射の患者に計画的訪問(1人・届出あり) | 650点+持続注射療法加算250点(麻薬管理指導加算は不可) |
| 持続注射の患者に深夜の緊急訪問(区分1・届出あり) | 500点+深夜訪問加算1,000点+持続注射療法加算250点 |
| 末期がんの患者に週2回の訪問 | 各回650点(週2回かつ月8回の特例内)+各加算 |
在宅薬学総合体制加算2の施設基準では、直近1年間の麻薬管理指導加算・持続注射療法加算等の算定回数の合計10回以上が要件の選択肢の1つになっています。加算の取りこぼしは体制加算の要件充足にも響きます(在宅薬学総合体制加算の完全ガイド)。
よくある質問(FAQ)
麻薬管理指導加算と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算は同時に算定できますか?
できません。告示は持続注射療法加算(250点)を算定する場合、麻薬管理指導加算(100点)は算定できないとしています。
在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算に届出は必要ですか?
必要です。麻薬小売業者の免許と高度管理医療機器の販売業の許可を要件とする施設基準に適合し、様式89で地方厚生局長等に届け出ます。
麻薬管理指導加算は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定しない訪問でも取れますか?
取れません。在宅患者訪問薬剤管理指導料(または緊急訪問薬剤管理指導料・緊急時等共同指導料)に上乗せする加算で、単独では算定できません。
外来の麻薬管理指導加算と点数が違うのはなぜですか?
外来の服薬管理指導料に対する麻薬管理指導加算は22点、在宅患者訪問薬剤管理指導料に対する麻薬管理指導加算は100点で、別の規定です。
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料と審査支払機関の取り扱いをご確認ください。
- 調剤報酬点数表(令和8年厚生労働省告示 別表第三) — 区分15〜15の10・区分10の3
- 調剤報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日 保医発0305第4号 別添3) — 区分15の1〜15の10の留意事項
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号) — 第102 在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算・第103 在宅中心静脈栄養法加算・様式89
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について — 告示・通知・疑義解釈の一覧

