「今月あと何回訪問できるのか」「週2回入れたいが大丈夫か」——在宅患者訪問薬剤管理指導料の回数ルールは、レセプト返戻の原因になりやすい論点です。しかも2026年6月改定で数え方そのものが変わりました。
本記事は医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料に絞って、月の上限・週の上限・特例患者・薬剤師1人あたりの上限を、告示と通知の原文をもとに整理します。介護保険の居宅療養管理指導の回数は 居宅療養管理指導は月何回まで? をご覧ください。
- 患者1人につき月4回まで(在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と服薬管理指導料「4のロ」の合計)
- 月2回以上算定するときは週1回を限度とする(2026年6月改定で「間隔6日以上」から変更)
- 末期の悪性腫瘍・注射による麻薬投与・中心静脈栄養法の患者は週2回かつ月8回まで
- 薬剤師1人あたり週40回の上限は改定後も継続
回数ルールの全体像【早見表】

| 対象 | 月の上限 | 週の上限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 通常の在宅患者 | 月4回 | 週1回 | 告示 注1/通知(8) |
| 末期の悪性腫瘍の患者 | 月8回 | 週2回 | 告示 注1 |
| 注射による麻薬の投与が必要な患者 | 月8回 | 週2回 | 告示 注1 |
| 中心静脈栄養法の対象患者 | 月8回 | 週2回 | 告示 注1 |
| 薬剤師1人あたり(患者を問わず) | — | 週40回 | 告示 注1/通知(9) |
「月の上限」は在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と服薬管理指導料「4のロ」を合算した回数
告示の注1は「患者1人につき区分番号10の3に掲げる服薬管理指導料の4のロと合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)に限り算定する」と定めています。訪問だけでなく、情報通信機器を使った「4のロ」も同じ枠で数える点を見落とさないでください。
2026年改定で「中6日」は廃止、「週1回」へ
改定前の通知には「算定する日の間隔は6日以上とする」という要件があり、現場では「中6日」「中5日」と呼ばれていました。2026年6月改定の個別改定項目では、この文言が「算定回数は、週1回を限度とする」に改められ、改定後の通知(8)は次のように書かれています。
「在宅患者訪問薬剤管理指導料及び服薬管理指導料『4のロ』を合わせて月2回以上算定する場合(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者又は中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)は、算定回数は、週1回を限度とする。」
実務で何が変わるか
- 日数を数えなくてよい:「前回から6日空いたか」ではなく「同じ週に2回算定していないか」を見る
- 週末・週初の連続は要注意:土曜と翌週月曜の訪問は日数なら中1日でも、週が違えば各週1回として整理できる余地がある。ただし「週」の起点(何曜日始まりか)は通知に明示がないため、審査支払機関の取り扱いを確認してから運用を決めるのが安全
- 月の上限は変わらない:週1回で4週なら月4回に収まるが、5週ある月でも月4回が上限
運用の型は「1週に1回・1月に4回」。訪問予定表を週単位で組み、月の合計を4回で止める。これだけで返戻の大半は防げます。
特例患者は「週2回かつ月8回」

末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者の3類型は、告示の注1で「週2回かつ月8回」まで認められています。通知(8)でも週1回制限の対象から除外されています。
「かつ」なので、週2回を超えない範囲で月8回まで、という両方の条件を同時に満たす必要があります。週3回訪問した週があれば、その月の合計が8回以内でも3回目は算定できません。
3類型のうち麻薬注射の患者は 在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算(250点)、中心静脈栄養法の患者は 在宅中心静脈栄養法加算(150点) の対象にもなり、回数の特例と加算がセットで効いてきます。
薬剤師1人あたり週40回の上限
通知(9)は「保険薬剤師1人につき在宅患者訪問薬剤管理指導料1、2及び3並びに服薬管理指導料『4のロ』を合わせて週40回に限り算定できる」と定めています。患者ごとの上限とは別の軸で、薬剤師1人が1週間に算定できる合計です。
施設訪問で1日に10人以上を担当する薬剤師は、週の後半でこの上限に達することがあります。訪問件数を伸ばす局面では、患者ごとの月4回と合わせて薬剤師ごとの週40回もダッシュボードで追っておくと安心です。
ケース別:この訪問は算定できる?
| ケース | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 第1週火曜・第2週火曜・第3週火曜・第4週火曜に訪問 | 算定可 | 週1回・月4回の範囲内 |
| 第1週に火曜と金曜の2回訪問(通常患者) | 2回目は算定不可 | 週1回を限度(通知(8)) |
| 末期がん患者に第1週 月・木、第2週 月・木、第3週 月・木、第4週 月・木 | 算定可 | 週2回かつ月8回の特例内 |
| 末期がん患者に同じ週に3回訪問 | 3回目は算定不可 | 週2回の上限を超える |
| 訪問3回+情報通信機器(4のロ)2回の月 | 5回目は算定不可 | 訪問と4のロは合算で月4回 |
| 急変で計画外に訪問 | 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料で別枠 | 計画的訪問とは別の区分(月4回まで)。詳細は緊急訪問の記事へ |
よくある質問(FAQ)
在宅患者訪問薬剤管理指導料は月に何回まで算定できますか?
患者1人につき、在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と服薬管理指導料「4のロ」を合わせて月4回までです。末期の悪性腫瘍、注射による麻薬投与、中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回まで算定できます。
「中6日」のルールはなくなったのですか?
はい。2026年6月改定で「算定する日の間隔は6日以上とする」の要件は廃止され、「月2回以上算定する場合は算定回数は週1回を限度とする」に置き換わりました。
週の起点は何曜日ですか?
改定後の通知には週の起点の明示はありません。運用を決める前に審査支払機関(支払基金・国保連合会)の取り扱いを確認することをおすすめします。
オンライン(情報通信機器)の指導は回数に含まれますか?
含まれます。服薬管理指導料「4のロ」は在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と合わせて月4回の枠で数えます。急変時の「4のハ」は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回の枠です。
薬剤師1人あたりの上限はありますか?
あります。在宅患者訪問薬剤管理指導料1〜3と服薬管理指導料「4のロ」を合わせて、保険薬剤師1人につき週40回までです。
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料と審査支払機関の取り扱いをご確認ください。
- 調剤報酬点数表(令和8年厚生労働省告示 別表第三) — 区分15〜15の10・区分10の3
- 調剤報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日 保医発0305第4号 別添3) — 区分15の1〜15の10の留意事項
- 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について(令和8年2月13日 中医協) — 新旧対照表
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について — 告示・通知・疑義解釈の一覧

