在宅の現場で最もつまずきやすいのが「居宅療養管理指導は月に何回まで算定できるのか」「週1回でもいいのか」「このケースは算定できるのか」という回数と例外のルールです。本記事では薬剤師が行う居宅療養管理指導にしぼって、算定回数の上限・間隔・算定できないケースを、現場の判断フローで整理します。
※ 算定要件・単価の全体像は、まず 居宅療養管理指導の算定要件と単価|完全ガイド を先にご覧ください。本記事はその「回数・例外」を深掘りする実務編です。
まず結論:薬剤師の居宅療養管理指導の回数ルール早見表
| 対象患者 | 算定回数の上限 | 訪問の間隔 |
|---|---|---|
| 通常の在宅患者 | 月4回まで | 算定日の間隔を6日以上空ける |
| 末期の悪性腫瘍/中心静脈栄養(IVH)の患者 | 週2回かつ月8回まで | 6日ルールの対象外 |
| 病院・診療所の薬剤師が行う場合 | 月2回まで | ― |
ポイントは3つです。
- 「週1回」は問題なく算定できる(月4回の枠内で、間隔6日以上を満たすため)。検索で多い「週1回でいいのか?」の答えは YES。
- ただし月の上限(4回)と間隔(6日以上)の両方を満たす必要がある。どちらか一方でも外れると算定不可。
- 末期がん・IVHの患者だけは特例で週2回・月8回まで踏み込める。
算定回数の上限:なぜ「月4回・6日間隔」なのか
居宅療養管理指導は「継続的・計画的な薬学的管理」を評価する報酬です。そのため、頻回すぎる訪問を防ぐために算定日の間隔は6日以上、月単位の管理を評価する観点から通常患者は月4回が上限という設計になっています。
よくある間違い:間隔6日の数え方
「6日以上空ける」は訪問日同士の間に中5日を入れるイメージです。
- ❌ 6月1日 → 6月6日(中4日。間隔5日で算定不可になりうる)
- ✅ 6月1日 → 6月8日(中6日。間隔7日でOK)
自治体・保険者によって解釈の確認を求められることがあります。レセプト返戻で最も多いのがこの間隔ミスです。訪問スケジュールは ケアマネとの連携 の段階で6日ルールを織り込んでおくと事故が減ります。
「算定できない」7つの代表ケース
検索需要が急増している「算定できない場合」を、現場で起きる順に整理します。
| # | ケース | なぜ算定できないか | 回避策 |
|---|---|---|---|
| 1 | 医師の指示がない | 居宅療養管理指導は医師の指示が前提 | 訪問前に指示(指示日・内容)を必ず記録 |
| 2 | ケアプランに位置づけがない | 介護保険サービスとしての要件を満たさない | ケアマネに居宅療養管理指導の位置づけを依頼 |
| 3 | 同月に医療保険の訪問薬剤管理指導料を算定 | 医療保険と介護保険は併算定不可 | 月単位でどちらを算定するか事前に決める |
| 4 | 薬を届けただけ(薬学的管理の実態がない) | 「配達」は算定対象外 | 服薬状況・残薬・副作用の確認と記録を残す |
| 5 | 訪問間隔が6日未満 | 間隔要件を満たさない | スケジュールを6日以上で組む |
| 6 | 月の上限(4回)を超過 | 回数上限オーバー | 5回目以降は算定しない/必要性を再評価 |
| 7 | 入院・入所中の患者 | 「居宅」にいないため対象外 | 退院後の在宅復帰日から再開 |
特に #3(医療保険との二重算定) と #4(管理実態の不足) は監査・返戻でよく指摘されます。残薬の確認記録は 在宅患者の残薬整理術 のフォーマットを使うと、算定根拠としても残せます。
医療保険か介護保険か:月単位の切り替えルール
同一患者・同一月に、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料と介護保険の居宅療養管理指導費を両方算定することはできません。
- 要介護・要支援の認定がある患者 → 原則 介護保険(居宅療養管理指導)
- 認定のない患者 → 医療保険(訪問薬剤管理指導)
月の途中で要介護認定が下りた場合などは切り替えの判断が必要です。迷ったら「その月に介護保険サービスを使っているか」を起点に整理すると間違えにくくなります。
オンライン服薬指導と居宅療養管理指導
近年増えているのが「訪問とオンラインを組み合わせたい」というニーズです。オンライン服薬指導の算定可否・要件は居宅療養管理指導とは別ルールで動くため、混同しないよう注意してください。詳細は オンライン服薬指導の完全ガイド で解説しています。
現場のチェックリスト:算定前に5秒で確認
訪問のたびに、次の5項目を指差し確認するだけで返戻リスクが大きく下がります。
- 医師の指示はあるか(指示日・内容を記録したか)
- 前回訪問から6日以上空いているか
- 今月すでに4回(特例患者は8回)算定していないか
- 同月に医療保険側で算定していないか
- 薬学的管理(服薬状況・残薬・副作用)を記録したか
まとめ
- 薬剤師の居宅療養管理指導は 通常月4回・間隔6日以上、末期がん・IVHは 週2回・月8回まで。
- 「週1回」は算定可能。需要の多い疑問の答えはYES。
- 算定できない代表ケースは「医師指示なし」「ケアプラン未位置づけ」「医療保険との二重算定」「管理実態なし」「間隔・回数オーバー」「居宅外」。
- 医療保険と介護保険は月単位でどちらか一方。
回数と例外のルールを押さえれば、居宅療養管理指導は在宅薬局の安定収益の柱になります。算定要件と単価の全体像は 居宅療養管理指導の算定要件と単価|完全ガイド を、収益インパクトの試算は 処方箋1枚あたりの利益 を合わせてご覧ください。
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※本記事の単位数・回数要件は2024年度介護報酬改定をベースにしています。2026年度は医療保険(診療報酬)改定の年にあたるため、医療保険側の訪問薬剤管理指導料の点数・要件は、算定前に最新の告示・通知でご確認ください。

