まず結論:薬剤師の居宅療養管理指導の回数ルール早見表
この記事は介護保険の薬剤師による居宅療養管理指導費が対象です。薬局薬剤師は原則月4回・月2回以上の場合は間隔6日以上、病院・診療所の薬剤師は月2回までです。医療保険の回数・間隔は別に確認します。根拠:厚生労働省:令和6年度介護報酬改定・留意事項新旧対照表、7(4)薬剤師、37〜39ページ、厚生労働省:調剤報酬点数表に関する事項(令和8年6月19日訂正後)、区分15・46ページ。
| 対象患者 | 算定回数の上限 | 訪問の間隔 |
|---|---|---|
| 通常の在宅患者 | 月4回まで | 算定日の間隔を6日以上空ける |
| 末期の悪性腫瘍/中心静脈栄養(IVH)/注射による麻薬の投与を受けている患者 | 週2回かつ月8回まで | 6日ルールの対象外 |
| 病院・診療所の薬剤師が行う場合 | 月2回まで | 月2回算定する場合は間隔6日以上 |
在宅の現場で最もつまずきやすいのが「居宅療養管理指導は月に何回まで算定できるのか」「週1回でもいいのか」「このケースは算定できるのか」という回数と例外のルールです。本記事では薬剤師が行う居宅療養管理指導にしぼって、算定回数の上限・間隔・算定できないケースを、現場の判断フローで整理します。
※ 算定要件・単価の全体像は、まず 居宅療養管理指導の算定要件と単価|完全ガイド を先にご覧ください。本記事はその「回数・例外」を深掘りする実務編です。
ポイントは3つです。
- 「週1回」は問題なく算定できる(月4回の枠内で、間隔6日以上を満たすため)。検索で多い「週1回でいいのか?」の答えは YES。
- ただし月の上限(4回)と間隔(6日以上)の両方を満たす必要がある。どちらか一方でも外れると算定不可。
- 末期がん・IVH・注射による麻薬の投与を受けている患者は特例で週2回・月8回まで踏み込める。
算定回数の上限:なぜ「月4回・6日間隔」なのか

居宅療養管理指導は「継続的・計画的な薬学的管理」を評価する報酬です。そのため、頻回すぎる訪問を防ぐために算定日の間隔は6日以上、月単位の管理を評価する観点から通常患者は月4回が上限という設計になっています。
よくある間違い:間隔6日(「中6日」)の数え方
「6日以上空ける」は訪問日同士の間に中5日を入れるイメージです。
介護保険の通知の表現は「算定する日の間隔は6日以上」です。例えば6月1日の次は6月7日以降です。この間隔の説明は介護保険の居宅療養管理指導費についてです。2026年6月以降の医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料は、原則として週1回を限度とするルールに変わっています。
- ❌ 6月1日 → 6月6日(中4日。間隔5日で算定不可になりうる)
- ✅ 6月1日 → 6月8日(中6日。間隔7日でOK)
自治体・保険者によって解釈の確認を求められることがあります。レセプト返戻で最も多いのがこの間隔ミスです。訪問スケジュールは ケアマネとの連携 の段階で6日ルールを織り込んでおくと事故が減ります。
「中6日」早見表:訪問日から次に算定できる日(月またぎも同じ)
「算定する日の間隔は6日以上」を日付に落とすと、訪問日の6日後から次の算定が可能です。月をまたいでも数え方は変わりません。
| 前回の算定日 | 間隔6日を満たす日 | 月回数の確認 |
|---|---|---|
| 6月1日 | 6月7日以降 | 6月1日を1回目とすれば7日は2回目 |
| 6月7日 | 6月13日以降 | 上の例では13日は3回目 |
| 6月13日 | 6月19日以降 | 上の例では19日は4回目 |
| 6月19日 | 6月25日以降 | 上の例で25日も算定すると5回目となり、通常は算定不可 |
| 6月25日 | 7月1日以降 | 30日までの月の例。31日までの月は25日の6日後は当月31日 |
| 毎週同じ曜日 | 7日間隔 | 間隔要件を満たすが、通常は月4回まで |
週1回の定期訪問なら間隔の要件は自動的に満たされ、残る論点は月4回の上限(5週ある月は5回目が算定できない。がん末期・中心静脈栄養・注射による麻薬投与の3類型は月8回)だけになります。
「算定できない」7つの代表ケース
検索需要が急増している「算定できない場合」を、現場で起きる順に整理します。
| # | ケース | なぜ算定できないか | 回避策 |
|---|---|---|---|
| 1 | 医師の指示がない | 居宅療養管理指導は医師の指示が前提 | 訪問前に指示(指示日・内容)を必ず記録 |
| 2 | 必要な情報提供を行っていない | ケアマネジャー等への情報提供要件を満たさない | 情報提供を実施・記録する。ケアプラン作成がない場合は通知の別取扱いを確認 |
| 3 | 同月に医療保険の訪問薬剤管理指導料を算定 | 医療保険と介護保険は併算定不可 | 月単位でどちらを算定するか事前に決める |
| 4 | 薬を届けただけ(薬学的管理の実態がない) | 「配達」は算定対象外 | 服薬状況・残薬・副作用の確認と記録を残す |
| 5 | 訪問間隔が6日未満 | 間隔要件を満たさない | スケジュールを6日以上で組む |
| 6 | 月の上限(4回)を超過 | 回数上限オーバー | 5回目以降は算定しない/必要性を再評価 |
| 7 | 入院・入所中の患者 | 「居宅」にいないため対象外 | 退院後の在宅復帰日から再開 |
特に #3(医療保険との二重算定) と #4(管理実態の不足) は監査・返戻でよく指摘されます。残薬の確認記録は 在宅患者の残薬整理術 のフォーマットを使うと、算定根拠としても残せます。
医療保険か介護保険か:月単位の切り替えルール
同一患者・同一月に、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料と介護保険の居宅療養管理指導費を両方算定することはできません。
- 要介護・要支援の認定がある患者 → 原則 介護保険(居宅療養管理指導)
- 認定のない患者 → 医療保険(訪問薬剤管理指導)
月の途中で要介護認定が下りた場合などは切り替えの判断が必要です。迷ったら「その月に介護保険サービスを使っているか」を起点に整理すると間違えにくくなります。
オンライン服薬指導と居宅療養管理指導

近年増えているのが「訪問とオンラインを組み合わせたい」というニーズです。オンライン服薬指導の算定可否・要件は居宅療養管理指導とは別ルールで動くため、混同しないよう注意してください。詳細は オンライン服薬指導の完全ガイド で解説しています。
現場のチェックリスト:算定前に5秒で確認
訪問のたびに、次の5項目を指差し確認するだけで返戻リスクが大きく下がります。
- 医師の指示はあるか(指示日・内容を記録したか)
- 前回訪問から6日以上空いているか
- 今月すでに4回(特例患者は8回)算定していないか
- 同月に医療保険側で算定していないか
- 薬学的管理(服薬状況・残薬・副作用)を記録したか
まとめ
- 薬剤師の居宅療養管理指導は 通常月4回・間隔6日以上、末期がん・IVH・注射による麻薬の投与を受けている患者は 週2回・月8回まで。
- 「週1回」は算定可能。需要の多い疑問の答えはYES。
- 算定できない代表ケースは「医師指示なし」「必要な情報提供の未実施」「医療保険との二重算定」「管理実態なし」「間隔・回数オーバー」「居宅外」。
- 医療保険と介護保険は月単位でどちらか一方。
回数と例外のルールを押さえれば、居宅療養管理指導は在宅薬局の安定収益の柱になります。算定要件と単価の全体像は 居宅療養管理指導の算定要件と単価|完全ガイド を、収益インパクトの試算は 処方箋1枚あたりの利益 を合わせてご覧ください。
あわせて読みたい
※本記事の単位数・回数要件は2024年度介護報酬改定をベースにしています。2026年度は医療保険(診療報酬)改定の年にあたるため、医療保険側の訪問薬剤管理指導料の点数・要件は、算定前に最新の告示・通知でご確認ください。詳しくは居宅療養管理指導の点数は2026年に変わった?(改定まとめ)をご覧ください。
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)
末期の悪性腫瘍の患者さんを担当するときの実務と心構えは看取り期の薬剤師の役割にまとめています。
よくある質問
Q. 居宅療養管理指導は週1回の訪問でも算定できますか?
A. 週1回の算定は問題なくできるとされています。通常の在宅患者は月4回までという上限の枠内で、算定日の間隔6日以上という要件も満たせるためです。ただし月の上限と間隔の両方を満たす必要があり、どちらか一方でも外れると算定できない点に注意が必要です。
Q. 「間隔を6日以上空ける」とは具体的にどう数えますか?
A. 介護保険では算定日と次の算定日の間隔を6日以上とします。例えば6月1日の次は6月7日以降です。「中6日」という呼び方と混同せず日付の差を確認してください。2026年6月以降の医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料は、原則週1回が限度で、介護保険と同一の間隔ルールではありません。
Q. 末期がんの患者では算定回数に特例はありますか?
A. 末期の悪性腫瘍、中心静脈栄養(IVH)、注射による麻薬の投与を受けている患者は、特例として週2回かつ月8回まで算定でき、6日以上の間隔ルールの対象外とされています。なお通常の在宅患者の上限は月4回・間隔6日以上、病院・診療所の薬剤師が行う場合は月2回までです。
Q. 医療保険の訪問薬剤管理指導と介護保険の居宅療養管理指導は同じ月に両方算定できますか?
A. 同一患者・同一月に両方を算定することはできません。要介護・要支援の認定がある患者は原則として介護保険、認定のない患者は医療保険で算定します。月の途中で要介護認定が下りた場合などは切り替えの判断が必要で、「その月に介護保険サービスを使っているか」を起点に整理すると間違えにくいとされています。
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