グループホーム(認知症対応型共同生活介護)から訪問薬剤管理の相談を受けたとき、「施設だから算定できないのでは」と迷う薬局は少なくありません。結論からお伝えすると、グループホームの入居者には居宅療養管理指導を算定できます。ただし、グループホームには「ユニット」という生活単位があるため、単一建物居住者の人数をどう数えるかに注意点があります。本記事では、算定可否の整理、保険の適用、単位数と回数の上限、ユニットの扱い、受け入れから訪問開始までの流れを順に解説します。
グループホームでも居宅療養管理指導は算定できる
グループホームは、認知症の高齢者が少人数の「ユニット」ごとに共同生活を送る介護保険サービス(認知症対応型共同生活介護)です。老健や介護医療院のように施設側に薬剤管理が包括される類型とは異なり、入居者への居宅療養管理指導を算定できます。依頼を受けた段階で「施設だから」と断ってしまわないよう、まず結論を押さえてください。
認知症の患者さんは薬の自己管理が難しいことが多く、飲み忘れ・重複服用・残薬といった問題が起きやすいため、薬剤師が定期的に関わる価値がとくに大きい訪問先です。施設職員だけで服薬管理を担うのは負担が大きく、薬局への依頼ニーズも安定しています。
グループホームでは、薬の保管や服薬の声かけを職員が担っていることがほとんどです。薬剤師が定期的に入ることで、飲み残しの把握、剤形や用法の見直し提案、職員への服薬に関する助言など、施設全体の服薬の安全性向上に貢献できます。
保険の適用:要介護・要支援なら介護保険が優先
保険の適用区分は、ほかの在宅と同じ考え方です。要介護・要支援認定を受けている入居者は介護保険(居宅療養管理指導)が優先され、認定を受けていない患者さんは医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料(650点・320点・290点)で算定します。グループホームの入居者は要介護・要支援認定を受けているのが通常のため、実務ではほぼ介護保険での算定と考えてよいでしょう。ただし、確認を省いてよいわけではありません。介護保険証で認定の有無と有効期間を確認し、施設側とも認定情報を共有しておきます。介護保険と医療保険では請求の流れや様式も異なるため、どちらで算定するかは受け入れの段階で確定させておくのが安全です。
単位数と回数の上限
薬局薬剤師の居宅療養管理指導費は、単一建物居住者の人数によって次の3区分に分かれます。
| 単一建物居住者の人数 | 単位数(1回あたり) |
|---|---|
| 1人 | 518単位 |
| 2〜9人 | 379単位 |
| 10人以上 | 342単位 |
1単位はおおよそ10円(地域により異なります)です。回数は原則月4回まで、末期の悪性腫瘍の患者さんなど一部の場合は週2回かつ月8回まで算定できます。グループホームでは同じ建物で複数の入居者を担当することが多いため、実務では379単位または342単位の区分が中心になります。なお、情報通信機器を用いた服薬指導には別の区分が設けられています。
グループホームは1回の訪問で複数の入居者に対応でき、移動時間がほとんどかからないため、時間あたりの効率を高めやすい訪問先です。1回あたりの単位数区分が下がっても、件数と毎月の継続によって収益は着実に積み上がっていきます。
ユニットの扱い——単一建物の人数の数え方に注意
グループホームならではの論点が、ユニットをどう扱って単一建物居住者の人数を数えるかです。1つの建物の中に複数のユニットがある場合、数え方しだいで適用区分が変わり得るため、ここを自己流で判断すると区分を取り違えるおそれがあります。たとえば「ユニットごとに数えるのか、建物全体で数えるのか」という判断ひとつで、適用される区分が変わる可能性があります。区分を誤って請求すると、返戻や過誤調整の手間も発生します。迷ったら決めつけずに確認する——この一手間を惜しまないことが、結果的にいちばんの近道になります。
単一建物診療患者数の具体的な数え方には細かいルールがあり、本記事では深入りしません(別記事で詳しく解説予定です)。まずは「【2026年最新】居宅療養管理指導の算定要件と単価」で算定要件の全体像を押さえたうえで、算定前に区分の根拠を確認してから請求する運用を徹底してください。
受け入れから訪問開始までの流れ
グループホームからの依頼は、施設の管理者や看護職員、担当のケアマネジャー経由で来るのが一般的です。受け入れの流れを整理しておきましょう。
- 施設・ケアマネジャーからの相談を受け、患者さんの状況(認定の有無・処方内容・かかりつけ医)を確認する
- 処方元の医師に訪問薬剤管理の指示・情報提供を確認する
- 本人・家族(代諾者)に説明し、契約・同意を得る
- 薬学的管理指導計画を作成する
- 訪問を開始し、施設職員との配薬・伝達ルールをすり合わせる
この流れは1人目の受け入れで固めておくと、同じ施設内の2人目以降がスムーズになります。グループホームは一度信頼関係ができると同一建物内で担当患者が増えやすい訪問先です。また、施設側は複数の事業者とやり取りしています。報告や納品の形式を施設側のやり方に合わせると、信頼を得やすくなります。
グループホームならではの実務の注意点
算定要件そのもの以外にも、グループホームでは次の点に気を配ると運用がスムーズです。
- 同意取得は家族・代諾者が中心になる:認知症により本人の判断が難しい場合は、家族など適切な代諾者に説明し、誰にいつ説明して同意を得たかを記録します
- 服薬管理は施設職員との連携が前提:一包化やお薬カレンダーの活用など、職員が配薬しやすい形に整えて渡し、処方変更時の伝達ルートを決めておきます
- 入院・ショートステイ等の期間を把握する:居宅で生活していない期間は算定できません。滞在先の変動は施設から共有してもらう体制にします。薬の受け渡しの工夫は「ショートステイ中の薬の管理」も参考にしてください
- 処方元の医師・ケアマネジャーとの情報共有:訪問結果の報告と情報提供を欠かさず、指示・文書の記録を残します
とくに認知症の患者さんは、体調や生活の変化が服薬状況にあらわれやすいものです。訪問時の気づきをその場で職員と共有する習慣が、服薬事故の予防と信頼関係の構築の両方につながります。
まとめ:算定可。ただし「数え方」は確認してから
グループホームは居宅療養管理指導を算定できる訪問先であり、認知症ケアにおける薬剤師の役割も大きい領域です。実務のポイントは、①要介護・要支援認定者は介護保険優先という原則、②単一建物居住者の人数区分(518単位・379単位・342単位)と原則月4回の上限、③ユニットの扱いを含む人数の数え方を確認してから算定する、の3点です。
グループホームは、件数を積み上げやすく、薬剤師の専門性も発揮しやすい訪問先です。自局の算定に取りこぼしがないか、要件の理解に抜けがないかは、無料の「在宅算定 まるごと判定」で確認できます。
よくある質問(FAQ)
グループホームは「施設」なのに算定できるのですか?
できます。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は入居者が共同生活を送る住まいであり、居宅療養管理指導の算定対象です。施設側に薬剤管理が包括される老健・介護医療院とは扱いが異なります。
ユニットが複数ある場合、単一建物の人数はどう数えますか?
ユニットの扱いには細かい論点があり、自己流で判断すると区分(518単位・379単位・342単位)を取り違えるおそれがあります。算定前に数え方の根拠を確認してから請求してください。
本人の同意を得るのが難しい場合はどうしますか?
家族など適切な代諾者に説明し、同意を得ます。誰にいつ説明し、誰の同意を得たかを書面に記録しておくことが重要です。
最終更新日:2026年7月4日
本記事は厚生労働省の告示・通知や公的資料を確認のうえ作成しています。最新の算定要件・点数は各年度の改定内容と原典で必ずご確認ください。

