「特養の入所者にも居宅療養管理指導は算定できる?」——答えは原則できません。居宅療養管理指導は「居宅」の要介護者が対象で、施設の種別によって算定可否がはっきり分かれます。本記事では施設種別ごとの可否早見表と、間違えやすいポイントを整理します。
結論:施設種別×算定可否の早見表
| 施設種別 | 居宅療養管理指導 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 自宅(戸建て・マンション) | ○ 算定可 | 本来の対象 |
| 有料老人ホーム(介護付き・住宅型) | ○ 算定可 | 「居宅」扱い。単一建物人数のカウントに注意 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | ○ 算定可 | 同上 |
| グループホーム(認知症対応型) | ○ 算定可 | 同上 |
| 小規模多機能型居宅介護(自宅で生活) | ○ 算定可 | 「居宅」扱い。宿泊サービス利用中の扱いは保険者に要確認 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | × 原則不可 | 介護保険施設。薬剤管理は施設サービスに含まれる(例外は本文参照) |
| 介護老人保健施設(老健) | × 不可 | 介護保険施設。施設内に薬剤師配置 |
| 介護医療院 | × 不可 | 同上 |
| ショートステイ利用中 | × 不可 | 施設サービス利用中のため |
※本表は2026年7月時点の一般的な整理です。個別ケースの算定可否は必ず最新の告示・疑義解釈資料と保険者にご確認ください。
なぜ施設だと算定できないのか

特養・老健・介護医療院は介護保険3施設と呼ばれ、薬の管理を含む医療・介護サービスが施設の報酬に包括されています。外部の薬局が訪問して薬学管理を行っても、それは施設が本来提供すべきサービスの範囲とされるため、別途の算定ができない構造です。
一方、有料老人ホーム・サ高住・グループホームは制度上「住まい」(居宅)です。自宅と同じように処方箋が発行され、薬局が調剤・訪問するため、居宅療養管理指導の対象になります。
特養の例外:末期の悪性腫瘍患者
特養については、末期の悪性腫瘍患者に限り、医療保険側の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できる例外が設けられています(配置医師との関係など細かい要件があります)。該当しうるケースが出たら、算定要件を必ず原典で確認してください。ここは監査でも見られやすいポイントです。
有料・サ高住で間違えやすい「単一建物居住者」のカウント
施設系で算定可の建物では、同一建物内で同一月に居宅療養管理指導を行う利用者の人数で単位数が変わります(1人518単位/2〜9人379単位/10人以上342単位)。入退去や利用開始・中止で人数は毎月動くため、月初の人数確認をルーティン化しておかないと、気づかないうちに過大・過小算定になります。詳しくは居宅療養管理指導の算定要件と単価で解説しています。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は算定できる

グループホームは名前に「ホーム」が付くため施設と誤解されやすいのですが、制度上は「居宅」です。入居者には外部の医療機関から処方箋が発行され、薬局が調剤・訪問するため、居宅療養管理指導を算定できます。特養・老健と同じ扱いだと思い込んで算定していない薬局は少なくありません。
実務上の注意は2点です。
- 単一建物居住者の人数:1ユニット9人以下が基本のため、同一月に訪問する人数が「2〜9人」区分に入りやすく、1人区分(518単位)で算定し続けていると過大算定になります。
- 服薬管理の主体:日々の与薬はホームの職員が行うため、薬剤師の関与は「管理指導」として何を行ったかを記録に残すことが重要です。
小規模多機能型居宅介護はどう扱うか
小規模多機能型居宅介護は「通い・訪問・宿泊」を組み合わせるサービスで、利用者の生活の本拠は自宅にあります。自宅で生活している利用者への訪問は居宅扱いとして算定できます。
判断が分かれるのは宿泊サービスを利用している期間です。ショートステイ利用中と同様に扱われるのか、通常どおり算定できるのかはケースによるため、迷ったら保険者に確認してから算定してください。ショートステイ利用中の考え方はショートステイ中の薬の管理と居宅療養管理指導で整理しています。
現場でよくある誤解
- 「施設に訪問しているから全部算定できる」→ 施設の種別で可否が分かれます。訪問先の建物が制度上どの類型かをまず確認
- 「特養でも薬を届けているので算定できるはず」→ 配達・調剤と、居宅療養管理指導(薬学的管理指導)は別。調剤報酬は算定できても居宅療養管理指導は原則不可
- 「サ高住は施設だから不可」→ サ高住は「住宅」です。算定可の類型を不可と思い込んで取りこぼしているケースも実は多い
算定漏れ・過誤の両方向のリスクがある領域なので、施設ごとの整理表を薬局内で共有しておくのがおすすめです。
最終更新日:2026年7月2日
本記事は厚生労働省の告示・通知や公的資料を確認のうえ作成しています。最新の算定要件・点数は各年度の改定内容と原典で必ずご確認ください。
よくある質問
グループホームの入居者に居宅療養管理指導は算定できますか?
算定できます。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は制度上「居宅」として扱われるためです。同一月に同一建物で訪問した人数によって単位数の区分が変わる点に注意してください。
特別養護老人ホームの入所者はどうですか?
原則として算定できません。特養は介護保険施設で、薬剤管理が施設サービスに包括されているためです。ただし末期の悪性腫瘍患者については医療保険側の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できる例外があります(要件は原典で必ず確認してください)。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は施設なので算定できないのでは?
サ高住は「住宅」です。有料老人ホームと同じく居宅扱いのため算定できます。不可と思い込んで取りこぼしているケースが実際にあります。
小規模多機能型居宅介護の宿泊サービス利用中は算定できますか?
ケースによって判断が分かれる領域です。自宅で生活している期間の訪問は居宅扱いで算定できますが、宿泊利用中の扱いは事前に保険者へ確認したうえで運用してください。
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出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)

