居宅療養管理指導や在宅患者訪問薬剤管理指導料の点数は、「単一建物に何人を訪問しているか」で変わります。この人数の数え方を間違えると、本来より高い(または低い)点数で算定してしまい、返戻や過誤の原因になります。本記事では、薬剤師が押さえるべき「単一建物居住者(単一建物診療患者)」の数え方を、2026年時点の点数早見表とあわせて整理します。
2026年時点で公表されている厚生労働省告示・日本薬剤師会点数表等に基づく概算です。人数のカウントには例外規定(特例で「1人」とみなすケース等)があり、個別判断が分かれる場合があります。最終的な算定可否は、最新の告示・通知・疑義解釈で必ずご確認ください。
「単一建物居住者」とは

単一建物居住者(医療保険では「単一建物診療患者」)とは、同一の建物に居住する利用者のうち、その薬局が訪問薬剤管理指導を行っている人数を指します。1人だけを訪問しているのか、同じ建物で複数人を訪問しているのかで、1回あたりの点数(単位数)が変わる仕組みです。
背景には「同じ建物にまとめて訪問できる方が移動の手間が少ない=効率的」という考え方があり、複数人を訪問する場合は1人あたりの点数が下がる設計になっています。
人数区分と点数早見表(2026年時点)
介護保険:居宅療養管理指導費(薬剤師・対面)
| 単一建物居住者の人数 | 単位数(1回) |
|---|---|
| 1人 | 518単位 |
| 2〜9人 | 379単位 |
| 10人以上 | 342単位 |
※オンライン(情報通信機器を用いた場合)は人数区分なしで一律46単位。いずれも2024年度改定の水準が2026年も継続しています。
医療保険:在宅患者訪問薬剤管理指導料
| 単一建物診療患者の人数 | 点数(1回) |
|---|---|
| 1人 | 650点 |
| 2〜9人 | 320点 |
| 10人以上 | 290点 |
2026年6月改定でも点数・算定回数(月4回まで等)は据え置きです。在宅関連では、在宅薬学総合体制加算1が30点・実績要件年48回に引き上げられるなどの見直しがありました。詳しくは居宅療養管理指導の点数は2026年に変わった?で解説しています。
数え方の基本ルール
- 「その月」に、同一建物で自局が訪問する人数で数えます。
- 同じ建物に住んでいても、自局が訪問していない人はカウントに含めません。
- 戸建ては原則「1人」。集合住宅・施設は、その建物で訪問する利用者の合計人数で区分が決まります。
迷いやすいケース

| ケース | 考え方の目安 |
|---|---|
| 同居の夫婦・家族を2人訪問 | 同一建物の複数人として扱うのが原則(=2〜9人区分)。ただし特例規定に注意 |
| 大規模マンションで1人だけ訪問 | 自局の訪問が1人なら「1人」区分 |
| 同一建物だが訪問人数が少ない/特定の状態 | 特例で「1人」とみなす規定がある(末期の悪性腫瘍 等)。要確認 |
| ユニット型施設 | 建物・ユニットの考え方に特例あり。原典で確認 |
※特例規定(「1人」とみなすケース等)は条件が細かく、改定で変わることもあります。判断に迷うケースは、必ず最新の告示・通知・疑義解釈で確認してください。
数え間違いが招くリスク
人数区分を多く見積もれば過大請求(返戻・自主返還)に、少なく見積もれば算定漏れ(取りこぼし)につながります。特に施設を複数件持つ薬局では、建物単位での訪問人数を毎月正確に把握する運用が重要です。算定要件全体の整理は居宅療養管理指導の算定要件と単価、回数の上限は居宅療養管理指導は月何回まで?もあわせてご覧ください。
まとめ
- 単一建物居住者=同一建物で自局が訪問する人数(その月)。
- 介護は518/379/342単位、医療は650/320/290点(2026年時点)。
- 夫婦・施設・特例ケースは判断が分かれるため、原典・疑義解釈で確認を。
主な出典
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定基準(介護報酬)
- 診療報酬の算定方法(令和8年厚生労働省告示)
- 日本薬剤師会「調剤報酬点数表」(2026年4月)
最終更新日:2026年6月13日
本記事は2026年時点の情報に基づく概算です。人数区分の特例や個別判断は、最新の告示・通知・疑義解釈で必ずご確認ください。
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)
よくある質問
Q. 単一建物居住者とは、具体的にどのような人数の数え方ですか?
A. 同一の建物に居住する利用者のうち、その薬局が訪問薬剤管理指導を行っている人数を指します。その月に同一建物で自局が訪問する人数で数え、1人だけか複数人かで1回あたりの点数(単位数)が変わる仕組みです。複数人を訪問する場合は1人あたりの点数が下がる設計になっています。
Q. 居宅療養管理指導の点数は、訪問する人数によってどのくらい変わりますか?
A. 2026年時点の概算では、介護保険の居宅療養管理指導費(薬剤師・対面)は1人518単位、2〜9人379単位、10人以上342単位、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料は1人650点、2〜9人320点、10人以上290点とされています。最終的な算定可否は最新の告示・通知・疑義解釈でご確認ください。
Q. 大きなマンションで1人だけ訪問している場合はどの区分になりますか?
A. 同じ建物に住んでいても、自局が訪問していない人はカウントに含めません。大規模マンションでも自局の訪問が1人だけなら「1人」の区分とするのが目安とされています。なお戸建ては原則「1人」で、集合住宅・施設はその建物で訪問する利用者の合計人数で区分が決まります。
Q. 単一建物居住者の人数を数え間違えるとどうなりますか?
A. 人数区分を多く見積もれば過大請求となり返戻や自主返還に、少なく見積もれば算定漏れ(取りこぼし)につながります。特に施設を複数件持つ薬局では、建物単位での訪問人数を毎月正確に把握する運用が重要とされています。特例規定など判断に迷うケースは、最新の告示・通知・疑義解釈での確認が必要です。

