「うちの薬局の調剤基本料はいくらなのか?」——この問いに即答できない薬局経営者は意外と多いものです。調剤基本料は処方箋1枚ごとに算定される薬局の「基本報酬」であり、薬局経営の根幹に関わります。本記事では、区分ごとの算定要件と点数の違いを整理します。
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- 調剤基本料は処方箋1枚ごとに算定される薬局の「基本報酬」。規模・集中率・立地で区分が変わる。
- 調剤基本料1(47点)〜3、特別調剤基本料A・B(5点/3点)まで、2026年6月施行の現行点数と該当薬局を早見表で整理。
- 「かかりつけ機能」を評価する国の方針により、集中率が高いほど・敷地内ほど点数が低くなる構造。
調剤基本料とは何か

基本的な考え方
調剤基本料は、保険薬局が処方箋を受け付けて調剤を行う際に、処方箋1枚ごとに算定される基本的な報酬です。
薬局の規模・処方箋の集中度・立地条件などによって区分が異なり、点数も変わります。
なぜ区分が分かれているのか
厚生労働省は「かかりつけ機能」の強化を推進しており、以下の考え方で点数差をつけています。
| 高い点数 | 低い点数 |
|---|---|
| 多くの医療機関から処方箋を応需 | 特定の医療機関に依存 |
| 地域に根ざしたかかりつけ機能 | チェーン薬局の大量処理 |
| 在宅医療や夜間対応を実施 | 対人サービスが限定的 |
調剤基本料の区分と点数一覧
2026年度改定後(2026年6月施行)の区分
| 区分 | 点数 | 主な該当薬局 |
|---|---|---|
| 調剤基本料1 | 47点 | 処方箋集中率85%以下の薬局(多くの中小薬局) |
| 調剤基本料2 | 30点 | 処方箋月2,000枚超かつ集中率85%超等 |
| 調剤基本料3-イ | 25点 | 同一グループ月3.5万枚超〜4万枚以下 |
| 調剤基本料3-ロ | 20点 | 同一グループ月4万枚超〜40万枚以下 |
| 調剤基本料3-ハ | 37点 | 同一グループ月40万枚超 |
| 特別調剤基本料A | 5点 | 敷地内薬局 |
| 特別調剤基本料B | 3点 | 調剤基本料の届出を行っていない薬局 |
注意: 上記は概要です。改定の詳細は最新の厚生労働省告示を確認してください。
各区分の算定要件を詳しく解説
調剤基本料1(47点)
最も高い点数です。以下のいずれにも該当しない薬局が算定できます。
| 非該当要件 | 内容 |
|---|---|
| 処方箋受付回数 | 月2,000枚超かつ集中率85%超ではない |
| 処方箋受付回数 | 月1,800枚超かつ集中率95%超ではない |
| グループ規模 | 同一グループで月3.5万枚超ではない |
| 敷地内薬局 | 医療機関の敷地内に所在していない |
つまり、中小の面薬局(門前比率が低い薬局)が最も有利です。
調剤基本料2(30点)
以下のいずれかに該当する薬局です。
- 処方箋月2,000枚超かつ集中率85%超
- 処方箋月1,800枚超かつ集中率95%超
- 処方箋月600枚以下で特定の要件を満たさない
調剤基本料3(イ・ロ・ハ)
大手チェーンが該当しやすい区分です。
| 区分 | グループ枚数/月 | 点数 |
|---|---|---|
| 3-イ | 3.5万枚超〜4万枚以下 | 25点 |
| 3-ロ | 4万枚超〜40万枚以下 | 20点 |
| 3-ハ | 40万枚超 | 37点 |
3-ハは2024年度改定で新設された最大手グループ向けの区分で、2026年度改定後の点数は37点です。
特別調剤基本料A・B(5点・3点)
特別調剤基本料Aは、医療機関の敷地内に所在する薬局(5点)が該当します。特別調剤基本料Bは、調剤基本料の届出を行っていない薬局(3点)が対象です。敷地内薬局は患者の利便性は高いものの、「門前」以上に医療機関への依存度が高いとして最低水準の点数が設定されています。
処方箋集中率の計算方法
計算式
処方箋集中率 = 主たる保険医療機関からの処方箋受付回数 ÷ 処方箋受付回数の総数
例えば、月間の処方箋受付回数が2,000回で、そのうち最も受付回数の多い医療機関からの処方箋が1,700回であれば、集中率は 1,700 ÷ 2,000 = 85% となります。
具体例
| ケース | 特定医療機関からの枚数 | 全枚数 | 集中率 | 調剤基本料 |
|---|---|---|---|---|
| 門前薬局A | 1,800枚 | 2,000枚 | 90% | 基本料2 |
| 面薬局B | 600枚 | 1,200枚 | 50% | 基本料1 |
| チェーン薬局C | 1,500枚 | 1,600枚 | 94% | 要グループ枚数で判定 |
集中率を下げるための施策
| 施策 | 効果 |
|---|---|
| 面処方箋の獲得 | 近隣の複数医療機関からの応需を増やす |
| 在宅業務の拡大 | 在宅処方箋はカウントされるが集中度を分散 |
| かかりつけ化の推進 | 患者が他院の処方箋も持参するようになる |
| OTC・健康相談の充実 | 来局のきっかけを増やし面処方につなげる |
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月間100枚/日の薬局でのシミュレーション
月の営業日を24日とした場合:
| 区分 | 点数 | 月間の調剤基本料収入 |
|---|---|---|
| 基本料1(47点) | 47点 | 47 × 10 × 2,400 = 1,128,000円 |
| 基本料2(30点) | 30点 | 30 × 10 × 2,400 = 720,000円 |
| 基本料3-ロ(20点) | 20点 | 20 × 10 × 2,400 = 480,000円 |
基本料1と基本料3-ロでは、月間64万円以上の差が発生します。年間では約780万円の差です。
地域支援・医薬品供給対応体制加算との関係
調剤基本料の区分とは別に、地域支援・医薬品供給対応体制加算を算定することで収入を上乗せできます。従来の地域支援体制加算は、2026年度改定で後発医薬品調剤体制加算と統合され、「地域支援・医薬品供給対応体制加算1〜5」に再編されました。
| 加算 | 点数 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 | 27点 | 体制・実績の基本要件を満たす薬局 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 | 59点 | 調剤基本料1の薬局(加算1より高い実績要件) |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 | 67点 | 調剤基本料1の薬局(最上位の実績要件) |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 | 37点 | 調剤基本料1以外の薬局 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 | 59点 | 調剤基本料1以外の薬局(加算4より高い実績要件) |
在宅業務の実績は、地域支援・医薬品供給対応体制加算の要件にもなっているため、在宅を積極的に行う薬局は二重のメリットを享受できます。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 最高点数 | 基本料1(47点):中小の面薬局が有利 |
| 最低点数 | 特別調剤基本料A・B(5点・3点):敷地内薬局・未届出薬局 |
| 年間の差 | 区分によって年間780万円以上の差が出る |
| 集中率対策 | 面処方・在宅・かかりつけで分散 |
| 加算活用 | 地域支援・医薬品供給対応体制加算で上乗せが可能 |
調剤基本料は薬局経営の「土台」です。自局がどの区分に該当するかを正確に把握し、必要な要件を満たせば上位の区分に移行できないかを常に検討することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 調剤基本料とは何ですか?
A. 保険薬局が処方箋を受け付けて調剤を行う際に、処方箋1枚ごとに算定される基本的な報酬です。薬局の規模・処方箋の集中度・立地条件などによって区分が異なり、点数も変わります。要件・点数の詳細は最新の厚生労働省告示でご確認ください。
Q. 調剤基本料1(47点)はどのような薬局が算定できますか?
A. 処方箋月2,000枚超かつ集中率85%超、月1,800枚超かつ集中率95%超、同一グループで月3.5万枚超、医療機関の敷地内に所在——これらのいずれにも該当しない薬局が算定できます。中小の面薬局(門前比率が低い薬局)が最も有利です。
Q. 調剤基本料の区分で経営にどのくらいの差が出ますか?
A. 1日100枚・月24日営業のシミュレーションでは、調剤基本料1(47点)と調剤基本料3-ロ(20点)で月間64万円以上、年間では約780万円の差が発生します。自局の区分の正確な把握が経営の土台になります。
Q. 処方箋集中率を下げるにはどうすればよいですか?
A. 面処方箋の獲得、在宅業務の拡大、かかりつけ化の推進、OTC・健康相談の充実などが有効です。在宅業務の実績は地域支援・医薬品供給対応体制加算の要件にもなっているため、在宅を積極的に行う薬局は二重のメリットを享受できます。
薬局のお金・収益をもっと深く知る
最終更新日:2026年7月8日
本記事は厚生労働省の告示・通知や公的データ・業界資料を確認のうえ作成しています。最新の算定要件・点数は各年度の改定内容と原典で必ずご確認ください。
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)
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