「利用者の部屋から袋いっぱいの飲み残しが出てきた」——介護現場で残薬は日常的な問題です。本記事では、介護施設・在宅介護の現場で残薬が生まれる原因と、介護職・家族・薬剤師が連携して仕組みで防ぐ方法を解説します。残薬は「もったいない」だけでなく、誤薬・重複服用につながる安全問題です。
介護現場で残薬が生まれる5つの原因
| 原因 | よくある場面 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| ① 飲み忘れ・飲み間違い | 昼食後の分だけ抜ける、別の日の分を飲む | 服薬カレンダー・一包化 |
| ② 拒薬・嚥下の問題 | 「苦い」「飲み込めない」で残る | 剤形変更の相談(粉砕・OD錠・貼付剤) |
| ③ 体調変化による中止指示 | 中止後の薬がそのまま保管される | 中止薬の回収ルール |
| ④ 処方日数と受診間隔のズレ | 受診が延びて前の薬が余る | 日数調整の処方提案 |
| ⑤ 保管場所の分散 | 本人の引き出し・家族管理・施設管理がバラバラ | 保管の一元化 |
重要なのは、残薬の大半は「本人の努力不足」ではなく仕組みの問題だということです。原因を特定せずに「ちゃんと飲んでください」と声かけしても解決しません。
残薬を放置する3つのリスク
- 誤薬・重複服用:中止になった薬や古い薬を誤って服用する事故の温床になる
- 治療効果の判定が狂う:医師は「飲んでいる前提」で効果を判断するため、実は飲めていないと不要な増量につながる
- 医療費の無駄:飲まれない薬にも薬剤費はかかっている。施設全体では無視できない金額になる
介護職・家族が今日からできる残薬管理の基本
保管を一元化する
残薬管理の第一歩は「薬のありかを1か所にする」ことです。本人の部屋・台所・家族の鞄に分散した薬をまとめ、服薬カレンダーやお薬ボックスで「今週飲む分」だけを見える化します。
「残った」事実をそのまま記録する
残薬を見つけたら、責めずに「いつの分が・何錠」だけメモして共有してください。この記録が薬剤師・医師にとって最高の情報源になります。隠された残薬が一番危険です。
気づいたら薬剤師に相談する
残薬の日数調整や剤形変更は、介護職や家族が医師に直接言い出しにくい話題です。薬剤師を経由すれば、処方提案として医師に伝えられます。
薬剤師と連携した「仕組み化」の実務
在宅訪問している薬剤師(居宅療養管理指導)が入っている場合、残薬管理は薬剤師の中心業務のひとつです。連携の型は次の3つです。
- ブラウンバッグ(残薬の総ざらい):袋を渡して家中の薬を集めてもらい、薬剤師が仕分け。古い薬・中止薬を回収し、飲める薬は日数調整へ
- 処方日数の調整提案:残薬分を差し引いた日数で処方してもらうよう薬剤師から医師へ提案。無駄が直接減る
- 服薬支援ツールの選定:一包化・服薬カレンダー・服薬支援機器など、その人の生活に合う方法を薬剤師が選ぶ
施設の場合は、「残薬を見つけたら誰に・どう報告するか」のフローを1枚に決めておくだけで回収率が大きく変わります。配薬車・居室・ステーションのどこで見つかった薬も同じ窓口に集まるようにします。
残薬調整は算定にも関係する
薬局側から見ると、残薬への対応は残薬調整・処方提案の実務として評価の対象になる場面があります(外来では外来服薬支援料など)。算定の詳細は年度の告示で必ず確認してください。介護現場との連携記録は、こうした評価の根拠にもなります。
よくある質問(FAQ)
介護施設で見つけた残薬は捨てていいですか?
自己判断で廃棄せず、まず薬剤師または医師に相談してください。中止薬か継続薬かの判断、回収・廃棄の手順は薬剤師が対応します。
残薬を薬剤師に相談すると費用がかかりますか?
在宅訪問(居宅療養管理指導)が入っている場合、残薬の確認・整理は訪問業務の一環として行われるのが一般的です。詳細は担当の薬局にご確認ください。
家族が遠方で薬の管理ができません。誰に頼めばいいですか?
ケアマネジャーに相談し、薬剤師の居宅療養管理指導(訪問)を検討してください。服薬カレンダーのセットや残薬整理まで薬剤師が担えます。
最終更新日:2026年7月2日
本記事は厚生労働省の告示・通知や公的資料を確認のうえ作成しています。最新の算定要件・点数は各年度の改定内容と原典で必ずご確認ください。
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出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)

