「薬局の情報管理がバラバラで大変」——紙の議事録、Excelのシフト表、LINEでの連絡…。こうした情報のサイロ化は、薬局業務の非効率の大きな原因です。
本記事では、私が実際に薬局運営で使っているNotionというツールの活用方法を紹介します。議事録・タスク管理・KPIダッシュボード・マニュアルを一元管理する仕組みを、データベースの設計例と運用ルール付きで解説します。
- 薬局の議事録・タスク・KPI・マニュアルはNotion1つで一元管理できる
- 最初の一歩は「議事録テンプレート」。いきなり全部を移行しない
- 患者の個人情報はNotionに入れないのが大原則。用途を業務管理に限定する
- 定着のカギは入力ルールの統一と「朝礼で毎日見る」習慣化
なぜNotionなのか
薬局の情報管理の課題
| 課題 | 従来の方法 | 問題点 |
|---|---|---|
| 議事録 | 紙 or Word | 過去の記録を検索できない |
| タスク管理 | 口頭 or LINE | 抜け漏れが発生する |
| KPI管理 | Excel | リアルタイム性がない |
| マニュアル | 紙のファイル | 更新が面倒、探すのが大変 |
| 申し送り | 紙の連絡ノート | 過去分は見返せない |
問題の本質は、ツールが分散していることで「どこに何があるか分からない」状態が生まれることです。探す時間・聞き直す時間・書き直す時間は、積み重なると大きな人件費のロスになります。
Notionの特徴
| 特徴 | メリット |
|---|---|
| オールインワン | メモ、DB、タスク管理、Wikiが1つで完結 |
| データベース機能 | テーブル・カンバン・カレンダーで多角的に表示 |
| テンプレート | 議事録やタスクの型を統一できる |
| 検索性 | 全文検索で過去の情報に即アクセス |
| マルチデバイス | PC・タブレット・スマホで閲覧・編集 |
| 無料プラン | 10名以下のチームなら無料で十分 |
専用のグループウェアや高機能な業務システムと違い、小さく始めて必要な分だけ育てられるのがNotionの強みです。中小規模の薬局が「まず情報を1か所に集める」目的で使うには、十分すぎる機能がそろっています。
活用法①:議事録管理

薬局で議事録が必要な場面
| 会議 | 頻度 | 参加者 |
|---|---|---|
| 朝礼・終礼 | 毎日 | 全スタッフ |
| 店舗ミーティング | 月1回 | 薬剤師+事務 |
| 在宅カンファレンス | 随時 | 多職種 |
| 経営会議 | 月1回 | 管理者+経営層 |
| 研修会 | 月1〜2回 | 対象者 |
Notionでの議事録の構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 会議の日時(データベースのプロパティ) |
| 参加者 | タグで選択 |
| アジェンダ | 事前に記入 |
| 議事内容 | 箇条書きで記録 |
| 決定事項 | 太字で明記 |
| アクションアイテム | 担当者+期限を記入 |
| 次回予定 | 次の会議日時 |
ポイントは、議事録を「書く場所」ではなく「決定事項とアクションを残す場所」と捉えることです。発言をすべて書き起こす必要はなく、決まったこと・やること・担当・期限の4点が残っていれば、議事録として十分に機能します。
運用のコツ
- テンプレートを作成する:毎回同じフォーマットで記録
- アクションアイテムは別データベースに連動:後述のタスク管理と紐づけ
- 会議後24時間以内に公開:書きっぱなしにしない
- 検索しやすいタイトル:「2024/12/15 月次ミーティング」のように日付+種別
活用法②:タスク管理

薬局で管理すべきタスクの種類
| カテゴリ | 例 |
|---|---|
| 日常業務 | 在庫発注、期限切れ確認、清掃 |
| 在宅関連 | 報告書送付、ケアマネ連絡、訪問準備 |
| 人事・採用 | 面接調整、研修スケジュール |
| 経営 | レセプト請求、KPI確認、設備更新 |
| コンプライアンス | 自己点検、許可更新、届出 |
Notionのタスクデータベース設計
| プロパティ | タイプ | 内容 |
|---|---|---|
| タスク名 | テキスト | 具体的なアクションで記述 |
| ステータス | セレクト | 未着手→進行中→完了→保留 |
| 担当者 | ユーザー | 複数選択可 |
| 期限 | 日付 | デッドライン |
| 優先度 | セレクト | 高・中・低 |
| カテゴリ | セレクト | 上記のカテゴリ |
| 関連ページ | リレーション | 議事録と紐づけ |
タスク名は「発注」ではなく「◯◯の在庫を確認して発注する」のように、動詞で終わる具体的な文にするのがコツです。誰が見ても次の行動が分かる粒度になっていれば、口頭での補足説明が不要になります。
ビューの使い分け
| ビュー | 用途 |
|---|---|
| テーブルビュー | 全タスクの一覧確認 |
| カンバンビュー | ステータス別に進捗を管理 |
| カレンダービュー | 期限をカレンダーで俯瞰 |
| 担当者別フィルター | 「自分のタスク」だけ表示 |
朝礼でのタスク確認フロー
| 順序 | 内容 |
|---|---|
| 1 | カンバンビューを全員で見る |
| 2 | 期限切れタスクの確認 |
| 3 | 「進行中」タスクの進捗報告 |
| 4 | 新しいタスクの追加・担当割り振り |
| 5 | 所要時間: 5〜10分 |
この「朝礼で毎日見る」運用こそが定着の最大のポイントです。どんなに良いデータベースを作っても、見る習慣がなければ形骸化します。逆に毎日見る場になっていれば、入力も自然と続きます。
活用法③:KPIダッシュボード
Notionで管理するKPI
| KPI | 入力頻度 | 入力方法 |
|---|---|---|
| 処方箋枚数 | 日次 | レセコンから転記 |
| 在宅訪問件数 | 日次 | 薬剤師が入力 |
| 在宅売上 | 月次 | レセプトデータから |
| 算定率 | 月次 | 算定件数÷訪問件数 |
| 患者継続率 | 月次 | 患者リストから |
ダッシュボードの構成
| セクション | 内容 |
|---|---|
| 今月のサマリー | 処方箋枚数、在宅件数、売上の速報値 |
| 月次推移 | 過去6ヶ月のKPI推移(グラフ) |
| 薬剤師別実績 | 個人ごとの訪問件数・効率 |
| アクションリスト | KPIから見えた課題と改善策 |
運用のコツ
- 入力のハードルを下げる:スマホから1分で入力できるフォームを用意
- 自動計算を活用:Notionの関数(Formula)で合計・平均を自動算出
- 月初のリセット:毎月1日にテンプレートから新しい月のページを作成
- 振り返りをセットにする:月末の経営会議でダッシュボードを見ながら議論
KPIは「集めること」ではなく「見て動くこと」が目的です。数字が悪い月に原因と対策をアクションリストに書き込み、翌月に検証する——このサイクルが回り始めると、ダッシュボードが経営会議の主役になります。
活用法④:マニュアル・Wiki
薬局でマニュアル化すべき業務
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 調剤手順 | 一包化、粉砕、麻薬調剤 |
| 在宅業務 | 訪問の流れ、報告書の書き方、算定の注意点 |
| 機器操作 | 分包機、レセコン、電子天秤 |
| 接遇 | 電話応対、クレーム対応 |
| 緊急時対応 | 災害時、過誤発生時、調剤ミス発覚時 |
Notionでのマニュアル運用
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 階層構造 | カテゴリ→サブカテゴリ→個別手順 |
| 画像・動画 | 手順は写真付きで |
| 更新日の記録 | 最終更新日をプロパティに |
| オーナー制 | 各マニュアルに責任者を設定 |
| 新人研修チェックリスト | 読了チェックをタスクとして管理 |
マニュアルの価値は「新人が先輩に聞かずに自走できる範囲」を広げることにあります。教える側の時間が浮くだけでなく、業務が属人化しないため、急な欠員や退職にも強い薬局になります。
運用ルールと患者情報の扱い(重要)
薬局でクラウドツールを使う際に必ず押さえておきたいのが、個人情報の取り扱いです。結論から言うと、患者の氏名・住所・病歴などの個人情報はNotionに入れないのが大原則です。
- 用途を業務管理に限定する:患者情報は薬歴システム・レセコンで管理し、Notionは議事録・タスク・マニュアル・KPIに使う
- 患者を特定できる記載をしない:申し送りに患者情報が必要な場合は、既存の薬歴システム側に記録する
- アクセス権限を管理する:メンバーの招待・削除ルールを決め、退職時は当日中にアカウントを削除する
- ログイン保護を有効にする:2段階認証を全員必須にし、共有リンクの外部公開設定は原則オフにする
この線引きさえ守れば、Notionは薬局の業務管理ツールとして安心して使えます。導入時に運用ルールを1ページにまとめ、スタッフ全員が読める場所に置いておきましょう。
導入ステップ
段階的に始める
| ステップ | 期間 | やること |
|---|---|---|
| Step 1 | 1〜2週目 | 議事録データベースを作成、1回使ってみる |
| Step 2 | 3〜4週目 | タスク管理を導入、朝礼で5分使う |
| Step 3 | 2ヶ月目 | KPIダッシュボードを作成 |
| Step 4 | 3ヶ月目 | マニュアルの移行開始 |
| Step 5 | 6ヶ月目 | 全業務の情報をNotionに集約 |
失敗しないためのポイント
- 全員に完璧を求めない:最初は管理者1人が入力する形でOK
- 既存ツールを少しずつ置き換える:一気に切り替えない
- 入力ルールを統一する:フォーマットとプロパティの選択肢を決めておく
- 定期的に掃除する:使われていないページは月1回アーカイブ
まとめ
| 活用法 | 導入効果 | 優先度 |
|---|---|---|
| 議事録管理 | 過去の決定事項をすぐ検索 | ★★★★★ |
| タスク管理 | 抜け漏れゼロ、進捗の見える化 | ★★★★★ |
| KPIダッシュボード | 経営判断の迅速化 | ★★★★ |
| マニュアル・Wiki | 教育の効率化、属人化の防止 | ★★★ |
Notionは「入れて終わり」ではなく「使い続けて初めて価値が出る」ツールです。まずは議事録テンプレートを1つ作るところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
無料プランでどこまで使えますか?
10名以下のチームであれば、本記事で紹介した議事録・タスク管理・KPI・マニュアルの用途は無料プランで十分実現できます。まず無料で始めて、権限管理などが必要になった段階で有料プランを検討すれば大丈夫です。
患者情報をNotionに入れても大丈夫ですか?
入れないことを強くおすすめします。患者の個人情報は薬歴システム・レセコンなど既存の医療系システムで管理し、Notionの用途は議事録・タスク・マニュアルなどの業務管理に限定するのが安全な運用です。
ITが苦手なスタッフが多くても定着しますか?
定着させられます。コツは「最初は管理者1人が入力し、他のスタッフは見るだけ」から始めることと、朝礼など毎日見る場面に組み込むことです。書く人を徐々に増やせば、無理なく浸透します。
ExcelやLINEからの移行はどう進めればいいですか?
一気に切り替えず、「議事録だけNotion」→「タスクもNotion」と段階的に置き換えます。移行期間中は二重管理になりますが、本記事の導入ステップ(約6ヶ月)を目安に進めれば、負担を抑えて移行できます。
最終更新日:2026年7月14日
本記事は筆者の薬局運営における実際のNotion活用経験に基づいて作成しています。ツールの仕様・料金プランは変更されることがあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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参考リンク
出典・参考(一次情報)
本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省(診療報酬・介護報酬の告示・通知・疑義解釈資料)
- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)(介護報酬・介護保険制度の解説)
- e-Gov法令検索(健康保険法・介護保険法などの条文)

