在宅薬剤師の業務効率化をDXで実現|記録・訪問ルート・多職種連携

在宅業務の効率化をDXで実現する|在宅ファーマ

訪問件数が増えるほど、記録・移動・連携の負担は重くなります。在宅薬剤師の業務効率化はDXの効果が最も出やすい領域です。本記事では、記録・訪問ルート・多職種連携の3点を中心に、具体的な進め方を解説します。

在宅業務の1日のDX前後の時間配分比較図(間接業務が3時間から約1.4時間に短縮されるモデルケース)
在宅業務1日の時間配分モデル:DXで間接業務が約半分になる(在宅ファーマ編集部作成)
目次

在宅業務で時間がかかっているのはどこか

まずはボトルネックの把握から。多くの在宅薬局で時間を奪っているのは「記録・報告書の作成」「移動」「情報共有のやり取り」の3つです。

① 訪問記録のデジタル化

タブレットやスマホで訪問先で記録を完結させると、帰局後のまとめ作業が不要になります。テンプレート化・音声入力・AI下書きと組み合わせると効果はさらに高まります。

② 訪問ルートの最適化

訪問順を最適化するだけで移動時間と燃料費を削減できます。エリアごとに曜日を固める、近接する患者をまとめる、地図ツールでルートを組む、といった工夫が有効です。

③ 多職種連携の効率化

医師・ケアマネ・訪問看護との情報共有を、電話・FAX中心から共有ツールに移すと、行き違いや待ち時間が減ります。連携が速くなることは患者の安全にも直結します。

効率化を成功させるコツ

  • 一度に全部変えず1領域ずつ
  • 現場の薬剤師を巻き込んで選定する
  • 導入後に効果を数値で測る(訪問あたり時間・残業)
  • うまくいったら横展開する

まず「時間の棚卸し」から始める

ツール選びの前に、自分の1日のどこに時間が消えているかを数字にします。1週間だけでよいので、次の5項目をメモしてみてください。体感と実測は驚くほどズレます——多くの場合、「訪問そのもの」より「記録と連絡」が想像以上に重いはずです。

業務紙運用でよくある時間見直しの視点
訪問前の準備(処方確認・持参物)1件 10〜15分前日にまとめて処理できないか
移動1日 1.5〜2時間訪問順は「地図上で最短」になっているか
訪問記録・薬歴の転記1件 15〜20分手書き→事務所で転記の二度手間がないか
報告書(医師・ケアマネ向け)1件 10〜15分薬歴からコピペできる形式になっているか
電話・FAXでの連絡1日 30〜60分「即答不要の連絡」まで電話にしていないか

※時間は編集部によるモデルケースです。棚卸しの結果、最も時間が大きい1つだけを最初のDX対象にします。

領域別:ツールの選択肢と選び方

領域選択肢の例選定ポイント
記録・薬歴クラウド型電子薬歴(タブレット対応のもの)訪問先で入力完結できるか。音声入力対応か
多職種連携医療介護専用SNS(メディカルケアステーション等)地域の診療所・ケアマネが既に使っているものに合わせる
訪問ルート地図アプリの複数経由地機能、ルート最適化サービスまず無料の地図アプリで十分。件数が多い場合のみ専用ツール
音声入力スマホ標準の音声入力、AI文字起こし車内・訪問直後の「記憶が新しいうち」に吹き込める運用か

重要なのは、多職種連携ツールだけは自分の薬局の都合で選べないことです。地域の診療所・訪問看護・ケアマネが何を使っているかを先に確認し、その輪に入るのが正解です。逆に記録・ルート・音声入力は自局だけで完結するので、今日からでも変えられます。

紙運用からの移行手順(5ステップ)

  1. 並行期間を設ける:最初の2週間は紙とデジタルを並行し、いきなり紙を捨てない
  2. 入力の型を決める:訪問直後5分で「音声メモだけ」残す、清書は帰局後、のように役割を分ける
  3. 週1回ふりかえる:使いにくい点をその場で直す。運用ルールは育てるもの
  4. 紙を「例外」に降格する:通信できない訪問先など、紙が必要な場面だけ残す
  5. 効果を数字で記録する:移行前に測った棚卸しの数字と比較する

効果測定:見るべき数字は2つだけ

DXの効果測定は複雑にすると続きません。「訪問1件あたりの間接業務時間(記録+報告+連絡)」「月間の訪問件数」の2つだけを毎月記録してください。前者が下がり、後者が増えて(または指導の質が上がって)いれば成功です。浮いた時間は訪問2〜3件分の売上、つまり居宅療養管理指導費の算定増に直結します。

まとめ

  • 在宅の効率化は記録・移動・連携の3点に集約される
  • 訪問記録のデジタル化で帰局後の作業を削減
  • ルート最適化で移動時間と燃料費を削減
  • 連携ツールで行き違いを減らし安全性も向上

よくある質問(FAQ)

在宅薬剤師の業務で最も効率化すべきはどこですか?

記録・報告書の作成、移動、多職種との情報共有の3つです。ここにDXの効果が出やすいです。

訪問記録のデジタル化のメリットは?

訪問先で記録を完結でき、帰局後のまとめ作業が不要になります。音声入力やAI下書きと組み合わせると効果が高まります。

効率化はどう始めればよいですか?

ボトルネックを1つ特定し、現場を巻き込んで小さく始め、効果を数値で測りながら横展開します。

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監修・編集:在宅ファーマ編集部(薬剤師)
本記事は薬局DX・AI活用の最新動向をまとめたものです。制度・ツール・算定要件は時期により変わるため、導入時は最新の公式情報をご確認ください。

出典・参考(一次情報)

本記事の点数・単位数・算定要件は、公開時点の厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料等にもとづいています。実際の算定にあたっては、必ず最新の一次資料をご確認ください。

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この記事を書いた人

薬剤師マルのアバター 薬剤師マル 在宅ファーマ編集長

薬剤師(実務7年目)。公認スポーツファーマシスト/サプリメントアドバイザー。調剤薬局・在宅医療の現場経験をもとに、在宅薬剤師と薬局経営者へ向けて、算定・実務・経営のリアルな情報を発信しています。記事は厚生労働省の告示・通知や公的データ・業界資料を確認のうえ作成し、最新の改定情報の反映に努めています。

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