ケアマネ向け勉強会の開き方|薬剤師が信頼を得る場づくり

ケアマネ向け勉強会の開き方|在宅ファーマ

在宅の依頼を安定して増やすうえで、ケアマネジャーとの信頼関係は欠かせません。その関係づくりの有効な一手が「ケアマネ向けの勉強会」です。営業のように売り込むのではなく、薬の知識を共有して現場の困りごとを一緒に解決する場をつくることで、自然と「薬のことはあの薬剤師に」と頼られる存在になれます。本記事では、薬剤師がケアマネ向け勉強会を開くための準備・テーマ・進め方を実務目線でまとめます。

要点は一つです。勉強会は「教える会」ではなく「役に立つ会」。ケアマネが明日から使える具体的な内容にすることが、信頼獲得の分かれ目になります。

在宅の依頼は、多くの場合ケアマネジャーの紹介から始まります。しかし飛び込みの営業や一方的なチラシ配りでは、なかなか信頼は生まれません。ケアマネが本当に求めているのは、売り込みではなく「困ったときに薬のことを相談できる相手」です。勉強会は、その相手が自分たちであると自然に伝えられる場になります。うまく設計すれば、営業色を出さずに継続的な関係を築ける——それが勉強会の最大の利点です。

目次

なぜ勉強会がケアマネの信頼につながるのか

ケアマネジャーは、介護・福祉の出身者が多く、薬にくわしくない方も少なくありません。そのため「薬の相談を気軽にできる相手」を求めていることが多いのです。勉強会は、その相手が薬剤師である、と知ってもらう絶好の機会になります。

一方的な営業では警戒されますが、「困りごとを解決してくれる勉強会」なら歓迎されます。飲み合わせ・副作用・残薬など、ケアマネが日々ぶつかる疑問に答えることで、「この薬剤師は頼れる」という実感が積み上がります。在宅依頼を増やす全体戦略は在宅の依頼を増やす薬局の営業ガイドで確認できます。

ケアマネに刺さるテーマの選び方

テーマは「薬剤師が話したいこと」ではなく「ケアマネが困っていること」から選びます。現場で反応が良いテーマの例を挙げます。

テーマケアマネの関心薬剤師が伝えられること
飲み忘れ・残薬対策利用者が薬を飲めていない服薬カレンダー・一包化・声かけの工夫
多剤服用(ポリファーマシー)薬が多すぎて不安減薬の考え方・医師への伝え方
副作用のサインふらつき・眠気の原因が知りたい観察ポイントと連絡の目安
薬剤師に頼めること何を相談していいか分からない訪問でできること・依頼の流れ

とくに「薬剤師に何を頼めるのか」を明確に伝えると、その後の在宅依頼に直結します。ケアマネは「頼めると知らなかった」ことが多いためです。

勉強会の準備|開催前にそろえること

準備不足の勉強会は逆効果です。次の点をおさえて臨みましょう。

  • 対象と人数を決める:居宅介護支援事業所単位か、地域包括単位かで内容の粒度を変える
  • 時間は短く区切る:ケアマネは多忙。30分前後+質疑が現実的
  • 資料は1枚もの+事例中心にする:専門用語を避け、具体的なケースで語る
  • 持ち帰れるものを用意する:チェックリストや連絡先入りの資料を配ると次につながる
  • 質疑の時間を必ず取る:個別の困りごとに答える時間が最も価値を生む

資料づくりでは、診療報酬・介護報酬の点数や単位を断定的に語らないことに注意します。制度は改定で変わるため、「評価される仕組みがある」といった説明にとどめ、詳細は原典で確認してもらう案内を添えます。

当日の進め方|信頼を生む立ち居振る舞い

内容が良くても、伝え方で台無しになることがあります。当日は次を意識します。

  • 専門用語をかみ砕く:薬効群や作用の話は、たとえを使って平易に説明する
  • ケアマネの仕事を尊重する:「教えてあげる」ではなく「一緒に利用者を支える」姿勢で臨む
  • 具体的な事例で語る:「こういうケースではこう動きます」と行動レベルで示す
  • 質問を歓迎する:どんな初歩的な質問にも丁寧に答え、心理的な壁を下げる

会議やカンファレンスでの発言の作法も参考になります。サービス担当者会議で薬剤師は何を話す?もあわせてご覧ください。

勉強会を「一度きり」で終わらせない

勉強会は開催して終わりではなく、継続的な関係づくりの入り口と位置づけます。開催後のフォローで差がつきます。

  • お礼と連絡先を届ける:「いつでも薬の相談をどうぞ」と明確に伝える
  • 個別の相談に丁寧に対応する:勉強会後に来た質問こそ信頼のチャンス
  • 定期開催で顔なじみになる:季節ごと・テーマごとに続けて関係を深める

こうした地道な積み重ねが、依頼という形で返ってきます。連携を深める考え方はケアマネとの連携術、多職種全体の連携は在宅医療の多職種連携にまとめています。

オンライン開催という選択肢

ケアマネジャーは移動や訪問で忙しく、対面の勉強会に集まるのが難しいこともあります。そこで有効なのがオンライン開催です。事業所にいながら参加でき、録画を残せば後から見てもらうこともできます。

  • 短時間で区切る:オンラインは集中が切れやすいため、20〜30分に凝縮する
  • 資料は事前・事後に配る:画面共有だけでなく、手元に残る形で届ける
  • チャットで質問を受ける:発言しづらい人もチャットなら質問しやすい
  • 録画を活用する:参加できなかった人にも届き、関係の裾野が広がる

対面とオンラインは、どちらか一方に絞る必要はありません。初回は対面で顔を合わせ、その後はオンラインで継続する、といった組み合わせが現実的です。オンラインを含めた連携ツールの使い方はオンライン服薬指導のやり方の考え方も応用できます。

地域包括支援センターや他事業所へ広げる

勉強会の相手は、特定の居宅介護支援事業所だけにとどめる必要はありません。地域包括支援センターや複数の事業所に広げることで、より多くのケアマネとつながれます。

広げ方ねらい進め方のポイント
地域包括支援センター地域の相談窓口とつながるまず一度あいさつに伺い、ニーズを聞く
複数事業所の合同開催一度に多くのケアマネに届く共通の困りごとをテーマに据える
多職種合同の勉強会看護・介護職も含め連携を広げる薬の話を専門用語なしで平易にする

大切なのは、「薬の相談ができる薬剤師がこの地域にいる」と知ってもらうことです。範囲を少しずつ広げることで、在宅の依頼が地域全体から入る土台ができます。営業活動全体の設計は在宅の依頼を増やす薬局の営業ガイドを軸に組み立てましょう。

勉強会でやってはいけない3つのこと

良かれと思ってやったことが、かえってケアマネの信頼を損なうこともあります。次の3つは避けましょう。

  • 売り込みを前面に出す:「うちに依頼してください」が伝わると警戒される。役立つ情報提供に徹する
  • 専門用語で煙に巻く:知識をひけらかすと壁ができる。相手が明日使える言葉で話す
  • 点数・単位を断定的に語る:報酬は改定で変わる。制度の存在にとどめ、詳細は原典確認を促す

勉強会の主役はあくまでケアマネと、その先にいる利用者です。薬剤師が「教える人」ではなく「一緒に支える仲間」として振る舞うことが、信頼への近道になります。

勉強会と日常業務をつなげる

勉強会で得た信頼は、日々のやり取りで温め続けてこそ実を結びます。会で顔なじみになったケアマネからの相談には、スピードと丁寧さで応えましょう。「すぐ返事が来る」「分かりやすく答えてくれる」という体験が、次の依頼を生みます。

勉強会後の接点信頼を深める対応
薬に関する電話相談忙しくても折り返し、要点を簡潔に伝える
サービス担当者会議薬の視点を短く的確に発言する
トレーシングレポート処方提案を医師・ケアマネに文書で共有する

こうした日常の積み重ねが、勉強会という「点」を、継続的な信頼という「線」に変えます。文書での連携はサービス担当者会議での発言例もあわせて磨いておきましょう。勉強会は魔法ではありませんが、薬剤師の存在を地域に知ってもらう、確実で誠実な一手です。焦らず続けることで、在宅の依頼は着実に増えていきます。まずは小さな一回から、気負わず開いてみることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

勉強会のテーマはどう選べばいいですか?

薬剤師が話したいことではなく、ケアマネが困っていることから選びます。飲み忘れ・多剤服用・副作用のサイン・薬剤師に頼めることなど、明日から使える具体的テーマが好まれます。

勉強会で報酬や点数の話をしてもいいですか?

制度が存在することは説明してよいですが、点数や単位を断定的に語るのは避けます。改定で変わるため「評価される仕組みがある」にとどめ、詳細は原典での確認を案内します。

勉強会は在宅の依頼につながりますか?

つながります。とくに「薬剤師に何を頼めるか」を明確に伝えると効果的です。ただし一度きりでなく、フォローと定期開催で関係を深めることが依頼増の鍵です。

監修・編集:在宅ファーマ編集部(薬剤師・実務7年目)
最終更新日:2026年7月9日
本記事は厚生労働省の告示・通知や公的資料を確認のうえ作成しています。最新の算定要件・点数は各年度の改定内容と原典で必ずご確認ください。

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この記事を書いた人

薬剤師マルのアバター 薬剤師マル 在宅ファーマ編集長

薬剤師(実務7年目)。公認スポーツファーマシスト/サプリメントアドバイザー。調剤薬局・在宅医療の現場経験をもとに、在宅薬剤師と薬局経営者へ向けて、算定・実務・経営のリアルな情報を発信しています。記事は厚生労働省の告示・通知や公的データ・業界資料を確認のうえ作成し、最新の改定情報の反映に努めています。

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