在宅医とのカンファレンス実践例──処方に「薬剤師の視点」を反映させる方法

在宅医療において、薬剤師と医師の連携は患者ケアの質を左右する重要な要素です。特に訪問診療の現場では、短い診察時間の中で処方を決定するため、薬剤師からの事前情報や提案が医師の判断を大いに助けます。

この記事では、在宅医とのカンファレンスに効果的に参加するための実践例を紹介します。

目次

在宅医との連携の3つの形

連携形態タイミング内容
同行訪問医師の訪問診療に薬剤師が同行リアルタイムで服薬状況を報告、処方提案
定期カンファレンス月1回程度の定例ミーティング担当患者の一覧レビュー、方針確認
臨時連絡状態変化時に電話やレポートで連絡副作用報告、処方変更提案

事例1:同行訪問での処方最適化

90代男性。訪問診療を受けるがんターミナルの患者さんに、医師の訪問に同行しました。医師が疼痛評価を行い「痛みが増しているのでオキシコドンを増量したい」と判断した際に、薬剤師として以下の情報を提供しました。

  • 現在の残薬量(増量前の用量が3日分余っている)
  • 便秘の訴え(オピオイド増量でさらに悪化の懸念)
  • レスキュー薬の使用頻度(1日2回→1日4回に増加)

医師はこの情報を踏まえ、増量と同時に便秘対策としてナルデメジンの追加を決定。レスキュー薬の用量も見直されました。薬剤師がその場にいることで、処方変更後のフォロー計画もその場で共有できました。

事例2:定期カンファレンスでの減薬提案

月1回の定期カンファレンスで、担当患者15名の服薬状況を一覧で報告した事例です。

薬剤師が作成したのは「処方見直し提案書」。各患者の薬剤数、残薬状況、副作用の有無を1枚の表にまとめ、特に見直しが必要な5名を優先度付きでリスト化しました。

患者薬剤数問題点提案
A氏14種類ふらつき+ベンゾ3種併用ベンゾ1種類への集約
B氏8種類残薬多い(夕分)朝昼集約の検討
C氏11種類eGFR低下腎排泄薬の用量調整

このカンファレンスでは3名の処方変更が承認され、翌月から実施されました。

事例3:急変時の臨時連絡

在宅患者が訪問時に「朝から吐き気が止まらない」と訴えました。バイタルを測定し、直近2週間の服薬状況を確認したところ、3日前に追加されたメトホルミンが疑われました。

SBAR形式で医師に電話連絡しました。

  • S:「○○さんが今朝から嘔吐を繰り返しています」
  • B:「3日前にメトホルミン500mg分2が追加されました」
  • A:「消化器症状の出現時期と一致するため、薬剤性を疑います」
  • R:「一時休薬と、減量再開(250mg分1から)をご検討いただけますか」

医師は即座に休薬を指示し、1週間後に250mg分1から再開する方針が決まりました。

カンファレンスで信頼を得るコツ

コツ1:データで語る

「なんとなく」ではなく、残薬数・バイタル推移・副作用の発現時期など、具体的な数字を用いて報告します。

コツ2:提案は選択肢形式で

「変更すべきです」ではなく「A案とB案がありますが、先生のご判断はいかがでしょうか」と選択肢を提示します。

コツ3:次のアクションを明確にする

「次回訪問で○○を確認して結果をご報告します」と、自分のアクションプランを伝えることで、医師の安心感が高まります。

コツ4:報告の頻度を安定させる

「問題があるときだけ連絡する」のではなく、月1回の定期報告を欠かさないことで、信頼の土台が築かれます。

筆者が大切にしていること

在宅医との関係で最も大切にしているのは「対等だが謙虚」という姿勢です。医師と薬剤師は専門領域が異なる対等な専門家ですが、最終的な処方権は医師にあります。

提案は情報提供であり、意思決定を強要するものではない。このスタンスを崩さなければ、医師との関係は必ず良くなります。


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この記事を書いた人

薬剤師マルのアバター 薬剤師マル 在宅ファーマ編集長
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